RUNDGANG 2000
Kunsthochschule Kassel 12. bis 16. Juli



ドイツの美術学校では、一年に一度「RUNDGANG」という学内展があります。 個人で展覧会をやっている人も希にいますが、如何せん学生なのでレベルは低く、 誰もがそう簡単に展覧会など出来ないのが現状です。そうなると年に一度のRundgangは、 唯一の発表の場であるので、みんな気合いを入れて望むことになります。

待ちに待ったRundgangは、7月12日19時、学長の挨拶で幕を開けました。 これでやっと、最後の追い込みで疲れ切った心身が、ホッとできる嬉しいときです。
メジャーな大学のRundgangには、ギャラリーや新聞記者など、 多くの美術関連の人々が若い作家を捜しにやって来るのですが、 ここカッセル大学では、学生と近所の人達が溢れ返っていました。 そんな事に、くよくよしていても仕方がないので、 他の学生がどんな作品を出したのか偵察に行くことにしました。


カッセル大学には美術の他に産業デザイン、服飾デザイン、映画、アニメーションなど、 多くの学科に別れているので、展示作品も色とりどりなのが、他の美術大学と違うところだと思います。 それが良いか悪いかは分からないけど、全く興味の無いモノもあることは事実です。

僕が絵を描いているということもあって、自然に興味は絵画へと向かうのですが、 現代美術の流れからか、油絵を描いている学生が激減してしまい、少し物足りない感じがしました。 みんなインスタレーションやビデオなどに興味を持ち、その方面の作品が多くなっています。 写真を使った作品が多かったのも、近頃の流行りなのでしょうか。


ドイツの大学では、学生は一人の教授の元で勉強するのですが、 その為クラスのカラーがハッキリでてきます。勿論学校の傾向も出ているので、 ドイツの大学を受験しようと思っている人は、まずその学校のRundgangを見ると、 学校を選ぶ良い参考になると思います。教授選びにも欠かせないことです。 教授の作品が大好きで、日本から遙々やって来たけど、 そこのクラスが面白くないって事もよくある話ですから。

さて、実際に各クラスを廻ってみて思ったのですが、 やっぱり絵画のクラスが見るも無惨に衰退していました。 そして、絵描きが絶滅しつつあるのを横目に、 ビデオや写真を使った作品群がゴロゴロころがっている。 そんな状況に絵描きの僕は「う〜ん」と唸りつつ、複雑な気持ちになりました。


若さ溢れる1年生クラスから、プロ並みの仕上げ(内容は疑問だけど)のクラスまで様々ではあったけど、 「去年よりは面白くなったなぁ」というのが素直な感想でした。これといって面白い作品がないのは、 例年通りなんですが・・・。

さてさて、人の作品のことより自分の作品について。 僕のクラスは、数少ない絵画クラスの一つなのですが、非常にドイツ風味の効いたクラスです。 その中で、僕の作品はやっぱり日本臭く、少し異質な感じがするのですが、それはそれで目立つので、 人々の関心を引いたことを祈っています。 確かに多くの人が、「面白いね」と言ってくれたのだけど、 悲しいかな、誰も絵を買ってはくれません。 まだまだ修行が足りないことを痛感した展覧会になりました。

Lobeck Klasse
僕のクラスがどんなところか気になったら、ここを覗いて見て下さい。 クラスメイトの作品群です。

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