やっとオープニングに漕ぎ着けた。カッセル在住日本人6人のグループ展だ。
グループ展をやろう!と話があったのは、まだまだ北国ドイツ真っ盛りで、 凍てつくような風が吹く2000年初めの頃だった。カッセルは言わずと知れた片田舎なので、 何かと刺激が少なく、自分たちを奮起さすためにも、一発展覧会でもやろーぜ!ってことで、 話はどんどん進んでいった。
しかし、ここはドイツ、日本人だけで突き進む訳にもいかず、ある教授に相談することになった。 その教授が日本びいきだったこともあり、大変親身に相談にのってくれ、 その教授のもとで美術を学んでいるドイツ人2人を、日本人展覧会係りに任命したのだ。 これが、ラブラブのマーチン&ティナとの出会いだった。
ドイツ人には珍しく、スラッとした美人のティナと、 ずんぐりとした温厚そうなマーチンの、凸凹お助けコンビに意味もなく、ムフフッと微笑んでしまった。 しかし、ここからこの2人組の快進撃が始まったのだ!
まず頭を悩ますのが、展覧会場探し。我々がう〜んと唸っている間に、 彼らはササッと展覧会場と成りうる場所のリストを作成。 貧乏学生だけに、お金の要らないところに絞ると、コネが要る。 そこをすかさず、教授の推薦状を手に入れ、会場を確保した。 決まった会場は、いわゆるカルチャーセンターで、 街の中心にあり、美術館(Documenta Xでリヒターがやった建物)の裏にあたる。 広さも十分だし、立地条件も申し分ない。志気は高まりつつあった。
ここで、話は一気に盛り上がり、招待状、ポスターだけではなく、 無謀にも、みんなのカタログまで作ってしまうことになった。 そうなると金が要る。しかし我々には金がない。だったらスポンサー!ってことで、 難問であるスポンサー探しが始まったのだ。
お助けコンビは、「今までは肩慣らしさ」と言わんばかりに、至る所に電話を掛ける。 少しでも金を集めようと、手当たり次第に攻めまくる! それと並行して、安い印刷屋も探し、ポスターなどの案を練る。 苦労のおかげか、なんとかお金も集まりオープニングに向け、ひた走る。
おっと、言い忘れてたけど、この展覧会の名前は「YELLOW」。 黄色人種ってこともあるけど、なんか深〜い訳があるらしい。 大変ややこしいので、ここでは触れない。
これでもか!と押し寄せる難問を、なんとかかわしつつ、無事オープニングを迎える事となった。 オープニングは、遠くから日本人の方々も駆けつけてくれて、思いのほか盛況だった。 教授の挨拶で幕を開け、色々な人と、自分の作品について話すこととなった。 これが、大変なのさ。
今までは、展覧会だー!おー!ってな感じに興奮状態だったため、 じっくりと作品について考えられなかった。 先輩達から手厳しくも暖かい激を頂き、やっと落ち着きを取り戻し、 同時に多くの問題点に気づいたという、充実したオープニングになった。
修行期間中に発表することは、良いか悪いか分からないけど、 今回の展覧会は、自分がまだまだ修行中だと、実感できたので、 満足のいく展覧会だった。
出品作品はアトリエの方にあるので、よかったら見て下さい。
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