ドイツの野鳥 vol.2
日本では見られない野鳥たち
ドイツでは、街の公園でも多くの野鳥を見ることができます。しかも、和モノとは微妙に違っていたり、日本では全く見ることのできない野鳥たちが、ブンブンと飛び交っているのですから、たまりません。今回は、そんな珍しい野鳥をご覧ください。
四十雀 (シジュウカラ)
Parus major
日本でもお馴染みの四十雀ですが、ドイツの四十雀は、胸が黄色です。学名も同じなので、どうなっているのかよく分かりませんが、黄色い四十雀も悪くありません。
よく鳴き、胸のネクタイや頬の白さが目立つので簡単に見付けることができます。その辺の公園や、庭先などでも見られます。四十雀は巣箱に入るので、巣箱を見てみれば、四十雀が出てくることもあり、身近な野鳥です。
鶺鴒 (セキレイ)
Motacilla alba
お尻をピコピコと振る様は、流石セキレイ。河原というより、普通に公園で見かける事が多い。
日本名は分からないのですが、過眼線がないので、ハクセキレイではないし、セグロセキレイほど黒くもない。学名も違うので、日本にはいないセキレイでしょう。
口から胸へかけての黒い部分が、もっさりした髭のようでサンタも顔負けでしょう。
鷽 (ウソ)
Pyrrhula pyrrhula
独特の鳴き声に加えて、驚きの胸の赤さで異様に目立つウソ。
メスは日本のウソと同じような感じですが、オスは違います。日本のウソは首だけが赤いのですが、ドイツウソは前面が真っ赤。派手。
日本では桜の花芽を食べるので嫌われることがあるそうですが、夫婦揃ってムシャムシャと白い花を食べる様子は愛らしくも面白い。夫婦仲が良さそうなのもウソの特徴かと思われます。
ヨーロッパ青啄木鳥 (ヨーロッパアオゲラ)
Picus viridis
ヤマゲラと違い目の周りが黒い。オスなら頬に赤い線が入ります。身体は結構な大きさがあり、のっしのっしと木を登っていく様子は、少し気持ちの悪い感じがしました。
アカゲラはよく見かけるのですが、ヨーロッパアオゲラは殆ど見かけることがありません。もう少し、じっくりと観察したいので、再会を望んでいます。
家雀 (イエスズメ)
Passer domesticus
初めはニュウナイスズメかと思ったのですが、ハゲがあるので、イエスズメと判明しました。町中をチョコマカと飛び交っています。
日本でお馴染みの、頬に黒い斑点があるスズメは、町中では見ることができず、森や大きな公園でないと見ることができません。
イエスズメのメスはオスよりずっと地味で非常に可愛い小鳥です。
青雀 (アオガラ)
Parus ceruleus
四十雀と並んでよく見かけるカラ類です。街路樹や公園、家の垣根の中など、元気良く飛び回っています。
胸は淡い黄色で、黒いスジがあり、過眼線もある。とどめに頭がしっかり青い。さらに、よく鳴きよく動くので、発見は至って簡単。人間の生活空間と同じようなところにも住んでいるので、ドイツでは一番馴染みのある小鳥かも知れません。
頭青花鶏 (ズアオアトリ)
Fringilla coelebs
ちょっとした公園でもよく見かける野鳥です。多彩な鳴きがあり、森の中で楽しませてくれます。飛ぶと羽の白い線が目立ち、大変美しい小鳥です。
スズメのように、よく地面に降りてきて餌を探しているので、直ぐにそれと分かります。
メスは全体的に淡い草色で、羽に白い線があります。オスほど目立ちませんが、綺麗な小鳥には違いありません。
黄青鵐 (キアオジ)
Emberiza citrinella
カクっとした下嘴(クチバシ)の格好良いホオジロの仲間です。木の頂辺で高らかに鳴いているので、容易く発見できます。
飛んでいても目立つ黄色い頭に、愛嬌があります。
ホオジロ仲間では、顔の黒い「オオジュリン」も見かけたのですが、良い写真がないのが残念です。
黒歌鳥 (クロウタドリ)
Turdus merula
ムクドリぐらいの大きさで、真っ黒な身体。クチバシと目の周りが鮮やかなオレンジ。公園だけでなく、あっちこっちで見かけます。鳴けば、一際大きな声で、多彩な鳴きを披露する。物まね技もちらほら。
公園などで、よく鳴くヤツがいるなあと思えば、殆どがクロウタドリの仕業です。屋根の頂辺で鳴くこともしばしば。
この写真は日向ぼっこで、気持ち良く口を開けている所です。まったく可愛いヤツです。
星椋鳥 (ホシムクドリ)
Sturnus vulgaris
全身黒光りだったのが、夏から秋にかけて白い点々が身体を覆うようになる。まさしくホシムクドリ。
どこでも見かける事ができるので、よく観察できる。しかしよくもまあ、綺麗な模様になるもんだ。極太ミミズを頬張る姿にも、貫禄がうかがえる。
羽を広げて囀る様は、これでもか!の勢いがある。しかし、好みの鳥ではないので、写真はめっぽう少ない。
頭黒虫食い (ズグロムシクイ)
Sylvia atricapilla
よく鳴き、チョコチョコと飛び回っているので、気配は感じるのだけど、近づくとすぐに逃げてしまい全貌が見えない。僕にとっては、なかなか撮れない鳥。この写真はメスの幼鳥だと思われる。幼鳥の時期は親鳥より、2,3歩は近づけるので楽しい。
ズグロムシクイという名前の通りオスの頭は黒く、帽子をかぶったというか、坊主頭のようで親近感あり。
五色鶸 (ゴシキヒワ)
Carduelis carduelis
特徴ある鳴き声に、この見た目、イヤでも目に付く。ヤイロチョウには劣るが、五色は十分派手。そして、この赤黒いマスクにはデストロイヤーもびっくり。
これだけ派手だと目立って困るかと思うのだけど、そんなことは全く気にしてない様子で、木のことさら目立つ場所で、高々と囀る。目立ちたがりではトップクラス。
飛んでいると、黄色と黒の羽がいっそう綺麗なのだが、顔をよくよく見てみると、結構エグイ。
ヨーロッパ駒鳥 (ヨーロッパコマドリ)
Erithacus rubecula
ドイツで馴染み深い野鳥といえば、このヨーロッパコマドリが一番でしょう。場所を選ばず見ることができます。
この可愛らしい見た目に、追撃を許さない美しい鳴き。食欲も旺盛で、ミミズを見付けると、人が居ようがバンバン攻めてくる。人気があって当然。
僕の中では、ドイツ野鳥横綱の地位を不動のものにしています。
こうして、日本では見られない野鳥を見ていると、楽しい反面、もっと日本の野鳥を詳しく見てみたくなります。ドイツでは、山に入っても圧倒的な「森」のイメージに押されたり、洋風の公園はいつまでたっても身体に染み込んでこない。日本の繊細な雑木林で野鳥を追ったり、お寺の境内で野鳥を観察したりしたいものです。
ドイツに来る機会があったなら、是非この可愛い野鳥たちを探してみてください。チョコっと公園へ散歩に行くだけで、何種類もの野鳥に会えます。こころ和むひとときです。