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伊勢の神宮

 伊勢の神宮へ行って来ました。「伊勢神宮」「お伊勢さん」「大神宮さん」などなどと呼ばれていますが、単に「神宮」というのが正式な名称のようです。伊勢の神宮には、大学生の頃に一度行ったことがある。真夜中にアホアホ4人組で、フラフラと出掛けて行ったのだけど、門は閉まり一歩も入ることができなかったという苦い思い出。しかも、入れない事に逆切れし、そーとー失礼な行動をとっていたような…。防犯カメラに写っていただろうに、危ない危ない。

 今回は、その非礼を詫びしつつ、日本文化に欠かせない、神や天皇と対峙していこうと意気込んで伊勢に乗り込みました。



 何も知らないまま、伊勢に向かったのですが、地図を見ると伊勢神宮が2つに別れてる。なんじゃ?内宮(ないくう)、外宮(げくう)と2つあるのだけど、ひとまず距離的に近い外宮を目指すことにする。

 外宮とは、今から1500年前に丹波の国から豊受大御神(とようけのおおみかみ)をお迎えし、お祭り申し上げているところ。と書かれているのを見て、何となく理解。しかも、その理由が、雄略(ゆうりゃく)天皇が、夢の中で天照大神(あまてらすおおみかみ)のお教えをお受けになられからだという。天照大神をはじめ、神々にたてまつる食物をつかさどられているそうな。なんと心躍る設定だろう。天照大神とは、お父さんが「伊弉諾尊(いざなぎのみこと)」、お母さんが「伊弉冉尊(いざなみのみこと)」、弟に暴れん坊「素戔嗚尊(すさのおのみこと)」という、天下無敵の家族構成の持ち主であり、日の神と仰がれる、揺るぎない日本の大ボス。そりゃーお食事の為に、丹波から神を呼ぶことも当然というもの。



 内宮が神宮の中心ということで、外宮には、参拝に訪れるひとも比較的少なく、静かで落ち着く。建物の簡素にして荘厳な趣は、他では見受けられない。さらに、取り囲む森のデカイこと。一本一本の木の大きさも凄いのだけど、絶妙に手入れされてる感じが、自然の森とは違った、神懸かり的な雰囲気を一層強めている。謙虚に、そして真心を持って、手入れされているのだ。見せる為の庭園では、到底出せない味わいがある。ただただ息をのむ。

 外宮の正宮に、しっかりお参りを済まして、内宮へ向かう。外宮からは約6km離れて鎮座さてれいるので、車でチョイチョイっと向かう。途中パンなど囓りながら、少し厳粛な気持ちになっている自分が面白い。





 内宮は、駐車場の雰囲気からして違う。ヤイノヤイノと賑わっている。バスも多く、添乗員の旗にゾロゾロと連なる人々。むむ、大丈夫か?ひとが多いと、ろくな事が無い!これは、日本の観光地の特徴。チョット心配になる。

 内宮のご祭神は、あの天照大神。お祭りなどの神前では、天照坐皇大御神(あまてらしますすめおおみかみ)と申し上げているそうです。読むのが苦しい。天照大神がお鎮まりになられている、一番奥の正宮を目指す。まずは、内宮を流れる五十鈴川を、日常の世界から神聖な世界へのかけ橋と言われている宇治橋で渡る。五十鈴川は、河口間近なのに、もの凄く綺麗な川だ。神宮より川上に民家など殆ど無いのだろう。飲めそう。



 内宮の森も、天然杉を基本にした、様々な木の生い茂る禁伐林なので、森厳は十二分に保たれている。心配だったひとの多さも、小雨の為か、それ程でもない。しかも、団体客は添乗員の旗の勢力圏から出てくることもないので、チョット時間をズラしたり、脇道へ入ると、誰も居なくなる。古い大木や、流れる川を味わいながら、ゆっくりゆっくりと歩く。

 目指す正宮には、御神体として、「八咫鏡(やたのかがみ)」が奉られている。これは、八坂瓊勾玉(やさかにのまがたま)と草薙剣(くさなぎのつるぎ)と合わせて、三種の神器と呼ばれている日本最高のお宝。しかも八咫鏡は、三種の神器の筆頭。ということは、日本最大最強のグレイトな宝物なのだ。なんともウキウキしていまう。三種の神器などと聞くと、ルパンやインディージョーンズが出てきそうだし、厳粛な気持ちの奥に、チラチラと光る感情も楽しみながら、ジワリジワリと進む。



 正宮は、20年に一度建て替えられているので、隣りに同じ大きさの敷地がある。広い敷地の真ん中にポツンと小さな祠が次の立て替えを待ちかまえている。その広場の奥には、現在の正宮がデデデン!っと鎮座している。他に類を見ない、「一番だ」って迫力に充ち満ちている。う〜む。

 伊勢の神宮は、思いの外、凄いところだった。ボスを前にして、何も願いはしなかったけど、ただただ頭は下げてきた。あの、大学生の頃の非礼愚行は許してくれたのだろうか。どうあがいても、戦いを挑める相手では無かったのに…。無知は罪だね、まったく。

 こうして日本人の根底にある歴史を感じながら旅をするのは、とても楽しい。ゴチャゴチャとした人間くさい歴史もいいが、もっと神秘的で夢がもてる歴史の方が楽しいと思う。あれこれと反省ばかりの暗く不安定な過去ではなく、前向きに力の湧く根元を感じてみてはいかがかな?




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