< back
仁淀川

 雪でも降るんじゃね〜のか!って季節になってきましたが、夏に仁淀川をカヌーで下った時の記録をご紹介します。季節外れではありますが、紅葉を見に行って冷たくなった手足を、ギラギラと肌に突き刺した、あの夏の日差しを思い出し、少し暖めてみてください。

 仁淀川は、西日本最高峰石鎚山より流れ出し、土佐湾に注ぎ込む清流です。全長は124Km、吉野川、四万十川に次いで四国で3番目の長さを誇る大河です。源流部である愛媛県側では、面河川と呼ばれ、石鎚山系の大規模な原生林から流れ出す水質は大変綺麗です。ブナ林という緑のダムにより、保水力、水質共に最高なのですが、当然のようにダムがあるため、ダムの水を放流されると、ぐぐっと濁ってしまいます。今回下った時も、大雨の後で、放流したのか、中流域の植林されている山が弱いのか、少し濁っていたのが悔やまれます。

荷物満載

 今回の川下りは、僕と友人と、その息子の三人で一泊二日の行程。上の行程表を見てもらえれば明らかなのですが、一日の下る距離は、なんと約7Km。30Kmも40Kmも下るようなひとからすると、ウォーミングアップにもならない距離ですね。しかも水量が多く流れもあったので、漕がずとも、どんぶらこ〜どんぶらこ〜と2、3時間も流されているだけで下ってしまう距離です。今回は漕ぐ楽しみより、川で遊んで、のんびりキャンプを楽しむ川下りを狙ったので、これでいいのだ。一泊にしては、少し多めの荷物を積み込み、いざ出発。


沈下橋

 仁淀川を下るのは2度目なのですが、前回より水の量が多く、川の様子が違う。漕がずともグングン進むし、船底を擦って進んだところも、ぽこぽこと水の山を越えていける。ゴツゴツと岩が見えていた瀬も、綺麗に水面下に沈んでる。降りてカヌーを引っ張る事などないので、ただただ楽しい川下り。水量の多くなった瀬も、楽しく遊べるレベルで愉快。まぁ僕のゴムカヌーは、なかなかひっくり返ることのないカヌーなので、緊張感に欠ける。「う゛ぎゃ〜死ぬ〜沈する〜」などと叫びながら下ってみたいもんだ。

 片岡の沈下橋が見えてきた、もう今日の行程の半分を下ってしまったようだ。まだまだ太陽も登りきっていないというのに。のんびり昼ご飯でも食べて、仁淀川を全身で味わうとするか。


早朝

 キャンプ地を決めて、テントを張ったり、飯の準備を整えて、泳ぐ。泳ぐとは名ばかりで、実際はライフジャケットを着て、ぷかぷかと浮いて遊んだだけ。これを着てると、泳いでもなかなか進まないのだ。流木になった気分で流れていると、目の前からヤマセミが飛び出し、頭をかすめて飛んでいった。ヤマセミも変なモノが流れてきてビックリしたのだろう。しかし、あれほど間近で見られるとは、たまには流木になるのもいいな。

 無数の星に囲まれ、川の音を聞きながら寝る。テントの中にいる蚊が足を食う。痒い。


少年

 早朝、ピリリとした空気に目を覚ます。昨日に引き続き、快晴の予感。今日は、思いっきりのんびり下る。カヌーから飛び込み、今日もぷかぷか。少年も流されて遊ぶ。彼はまだ園児なのだけど、一人前に遊んでいる姿は、すっかり少年の姿に見えるから面白い。

 この辺から鮎釣りの人たちがわんさかでてくる。両岸から、釣り竿が所狭しと迫り出してくる。邪魔にならぬように、慎重にコースを選びそっと流れる。失礼って気持ちも込めて「こんちは〜」と挨拶しても、ほとんど返ってこない。川で遊んでいて思うのだけど、釣りをしてるオヤジに、ゴミを捨てたり、マナーの悪い人が非常に多い。道のないような上流へ分け入ったところで、空き缶やら弁当のカスを見ることがある。「オヤジ」と冷たく呼ばれる人たちよ、しっかりしろ。

悲しい上陸

 ひとが多くなると、確実に川が汚れる。この辺りで川から上がるのが得策か。でも、もう少し上流からスタートして、水門からの放水を食らいながら、土佐和紙工芸村の前をのろのろと下り、海まで漕ぎ出すってこともしてみたい。次は海までだな。

 遊び終わった後は、なとも寂しくなる。漕ぎ疲れた身体でなく、泳ぎ疲れた脱力感に浸りながら、ブイブイとジムニーを走らせる。満足なり。




top

写真館TOPに戻る

Copyright (C) 2003 Ippei Kubo All Rights Reserved.

inserted by FC2 system