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内子の町並み

 日本を愛する男の一環として、四国マイスターを目指すべく、石鎚山の頂上に、四万十川の源流、仁淀川に大歩危小歩危、四国カルストに足摺岬などなど、四国の隅々まで触れてきた。しかし、それでもまだ見逃してる魅力的なところはいっぱいある。今回は、そのひとつである愛媛県内子町へ行ってきた。

 内子町は、坊ちゃんでお馴染みの松山市から南南西へ35Kmの山間にある街。むか〜し高知から、龍馬がスタコラサッサと脱藩してきたところだと言われてる。
 江戸後期から明治時代にかけて、ハゼの果皮から取った木蝋(もくろう)と和紙で大いに栄えた街。そのため、街の中心である八日市・護国の町並みは、その当時の建物も残り、今もなお重厚で美しい佇まいを見ることができる。国の「重要伝統的建造物群保存地区」となり、景観の保存と管理が行われているのも効いてる。

あま酒

 内子町は、江戸からの綺麗な町並みが残っているだけでなく、技術も残っている。和傘や和蝋燭の職人が、ガッチリ現役で良いものを作り続けている。そんな人や仕事が見たい!ってのが、内子に惹かれる一番の理由。綺麗な和傘でも買って帰ろうかな、などと思いながら八日市・護国地区へ入っていった。
 お、流石に評判なだけあって、漆喰の壁や、手の込んだ建物が並んでいる。柱の隅とかに彫刻されたモノが付いていたり、漆喰での造形があったり、鬼瓦も単純なものでない。木でできた格子窓も、ひとつひとつできが良い。裕福だったのだなぁっと伺うことができる。贅沢って、こういうことなんだろうな。お金はかかるけど、こうした家を建てることで、日本独特の家を飾る職人の技術を育てたんだろう。今は、そんな家を建てようとしてる人も、技術を持ったひとも激減してるんだろうなぁ。


唐辛子

 江戸の風吹く町並みの家々は、殆どが商店になってる。おみやげ物屋っぽいところから、手作りの品々を売るところ。じいさん、ばあさんが、自分のところで取れた野菜、椎茸、ミカンなど売っていたりもする。一際目に飛び込んできたのが、唐辛子の束。
 唐辛子の赤って独特で、形も綺麗。それをワラでつなげてある。すだれの前に並べてあるところなど、オシャレじゃないですか〜おじいちゃん(^-^ しかも一本150円。買いでしょ。飾りとしても良い感じだけど、もちろん食べることもできる。おまけに魔よけにもなるっていうのだから、お得感抜群。次回のペペロンチーノはひと味違うぜ。


修復

 600m続く町並みをグイグイと進んで行くと、観光目当て以外のところもある。まず中学校があるし、散髪屋もある。あんま屋もあったりする。どれもこれも見た目は江戸時代。看板などは昭和初期までの雰囲気でしっとり美しい。しかし、たまにダサダサの派手な看板があるので、観光局は即座に撤去命令を出すべきでしょ。さらに、生活感にあふれている感じは拭いようがない。狭い路地の街角に、車は停めてあるし、民家からテレビ、ラジオ、笑い声などが聞こえてくる。すれ違う小中学生は、ニコッと微笑んで「こんにちは」。生活感って普通の観光地には無い方がいいけど、ここ内子にはあってもいいような気がする。ただ、車は無い方がいいけどね。


和蝋燭

 さて、やっと目当ての和蝋燭屋さんに到着。店も雰囲気満点で、引き寄せられる。内子でもただ一軒の蝋燭屋。中にはいると、実際に作ってるところが見える。溶けた蝋の入った鉢に手を入れて、少しづつ少しづつ蝋燭を重ねていく。時間かかりそう。手間暇かけて作る和蝋燭は、炎も大きく、ススが少ない。存在感のある見た目で、ニオイもいい。小さめの(5匁)を数本買って帰る。食事の時にでも灯してみるかな(^-^


和傘

 もう一軒の気になるところへ行ってみる。和傘造りの泉さんのところ。竹を削りだし骨を作り、和紙を張って仕上げるまで、泉さん一人の手作業によって作られてる。工房の裏には、乾燥させている傘が立てられていて、その色や形に見惚れてしまう。部屋の中では泉さんが黙々と仕事をしている。和傘が一本欲しいなと思っていたのだけど、陳列されていない。聞けば、全て受注生産!!予約が必要で、しかも、当分先まで予約で一杯らしい。ひと月に15,6本が限界らしく、なんとも入手は困難と思われる。くぅ、頼んでおこうかな。


床几

 新しく立てられた旅館?も昔ながらの造りで、見ていて飽きない。真っ白でなく、黄色がかっている漆喰と焼きの入った木のコントラストが絶妙。折りたたみ式の縁台である床几(しょうぎ)とか、良いではないですか。入り口が木の引き戸ってのもいいです。こんな家に住みたいなぁ。

江戸の風情残る内子を見てきましたが、観光に押されて道を踏み外す街が多い中、どうにかこうにか崩れずに良い感じを保っているところでした。蝋燭と和傘を見るだけでも、行く価値は十分。是非足を運んで職人の技を見て、買って来てください。


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