友達とその息子(10歳)と私。男三人で、カナダ北部を流れる、テスリン川とユーコン川をカヌーで下る。
総距離370kmと今までない距離。ガツガツ漕ぐと6日で下ってしまう行程らしいが、我々は普段、気の抜けた川下りをしているので、漕ぐことが苦手。できれば木の葉のように、ゆらゆら流れて行きたい。余裕を持った設定として、11泊12日のロングキャンプ。
水、食料など途中での補給が出来ないので、荷物がドカドカと増える。日本人にとって、キャンプであろうと、食生活が重要なのだ。カヌーに荷物を積み込むと、グッと吃水が深くなる。意気揚々と旅の始まりだ。
スタート直後から、空は重く、風が強い。幸いにも追い風なので、波に気をつけながら漕ぎ進む。傘をさして帆に見立てると、舵がとれぬほど風に引っ張られる。
テスリン川は、釣り人にはたまらないと聞いていたので、竿を振ってみる。フィッシングライセンスも購入済みなので、気兼ねなく釣ることができる。日本から持ってきたスプーンやミノーを投げるとコツコツ当たりが!少年が釣り上げたグレイリングがデカイ。
キャンプ地を探して上陸すると、狼の足跡が…。熊ではないが、狼も怖い。キャンプ地は他を当たろう。
8月とは言え、後半にもなると夜が冷える。氷点下にはならずとも、近いところまで冷え込む。息が白く、焚き火が気持ちいい。カナダは乾燥しているので、山火事の危険があり、焚き火は最小限が基本。自然に対しての謙虚さもでてくるので、無駄に木を燃やさなくなる。これはチョイとやり過ぎですね、反省…。
季節が変わってしまったらしく、青空が見えない。キャンプ生活なので、汗をかくと水温10度の川で水浴び…。痺れる冷たさなので、なるべく水浴びは避けたい。曇ってると、肌寒く汗もかかず良いのだが、晴れ渡る姿が見たい。
ポツポツと、古いキャビンがある。苔がむして自然に帰ろうとしている。何とも言えない存在感がある。この中で寝る気にはならないけどね。
テスリン川では、一ヶ月半前から大規模な山火事があり、まだ煙が上がっている場所や燻ってるところがある。焼け野原は20km以上も続き、悲しくなる光景。
川地図を参考にキャンプ地を探す。今日のキャンプ地はキラキラの流れ込みがあり、快適。これは今回一番のキャンプ地だったなぁ。
基本的には早々にキャンプ地を決めて、ササッと食事をし、のんびり過ごす。このあたりまでは、まだまだ肉や野菜があったので、食卓も華やか。
いきなり現れたのが、カナダヤマアラシ。近づくとお尻を向けてトゲトゲ防御態勢に。落ち着くとそっと近付くことができた。間近に見る野生動物は美しい。
ユーコン川に合流すると、ゴールドラッシュ時代の蒸気船があり、燃え上がっていた時代を垣間見れる。
雨の停滞もあったので、久々に日が照ると、いそいそと湿った寝袋などを干す。ほんわかと膨らんだ寝袋が気持ちいい。
森に入っていくと苔が深く、ふわふわとした感じ。リスや鼠の獣道が縦横無尽に走っている。朝はリスの大合唱で起こされることが多かった。
食事の基本は米。朝晩3合の米を飯盒で炊くことも多かった。小さな焚き火で炊く米の美味いこと。
真っ暗になるのが12時半なので、食後は遅くまでのんびりできる。ユーコンの流れを前に読書。こりゃー贅沢な時間だ。
青空キター(゚∀゚) ジリジリと暑くなり、汗がにじむ。水浴び決定は苦行だが、やはり青空は美しい。
朝起きると、少年が焚き火をおこして待っていた。ぐんぐん成長してるねぇ。
テント11連泊という空前の旅も、もうおしまい。体力的にもこのあたりが限界かな。
ゴール地点である、カーマックスに迎えに来てもらう。日本人のカヌーレンタル屋さんだったので、ずいぶん楽に事が進んだ。
旅の終わりを祝い、ホワイトホース一番のレストランで晩餐会。カリブーのシチューなど美味い!高かったけどね。
12日間の川下りを通して、自然の大きさや繊細さを実感できたと思う。ずっと変わらぬ自然の営みや、圧倒的なまでの壮大さ。日本では感じることの出来ない感覚だった。過酷ではあったけど、ほんとに楽しい旅でした。
「Klondike Canoeing Rentals」 お世話になった日本人のカヌーレンタル屋さん。
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