さらばポロ号
悲しみの別れ

遂にこの時が来てしまった・・・。そう、我が愛車ポロ号の廃車である。
思えばベルリン、フランクフルト、ケルンへの貧乏旅行に活躍し、引っ越しのときは荷物を満載にして、 車高をググッと落としてアウトバーンをノロノロと走り、日々の買い物では牛乳やネギを楽々と積み込み、雨の日も、凍てつくマイナスの世界でも、あらゆる面で僕を助けてくれる良き相棒だった。しかし、度重なる不幸と経済的問題から、泣く泣く手放すことになった。

*廃車当日の記録*

ポロ号は車検が切れていたため、この日まで一ヶ月程置き去りにされていた。 久々に見るエンジンルームは、いままでの死闘を物語るかのように、疲れ果てた形相ではあったが、 その反面まだまだ走れるぞ!という生きている機械独特の雰囲気を十二分に放っていて、 今日見捨てる僕に対して、なにかを訴えているようで、胸が詰まる思いがした。
最後のオイルチェックをし、エンジンをかけようとしたが、もちろんセルモーターはビクともしない。 バッテリーは、しっかりと空っぽなのである。それもそうだなぁ、ほったらかしてたもんな。

友達のビートルから、電気を分けてもらいセルを回すも、なかなか動き出さない。 まさか本当に死んでしまったのか!という思いが頭をよぎったが、流石ポロ号! 「グオォォォーン」という爆音(マフラーに穴が開いてるので)をたてて息を吹き返した。
非情な僕に対する、最後の抵抗なのだろう。
さぁ車屋まで最後のドライブだ!!
15分程の道のりだけど、その間ポロ号はバッテリーライトを赤々と灯し、 軽快な足取りでブンブン走っていく。まだまだ十分に走ることのできる良い車だ。

束の間のドライブも、目的地が車屋であり、帰ることのない「行くだけドライブ」なのだから、 楽しい訳がなく辛い走りとなった。
そこでナンバーを外され、廃車の手続きにかかる。ナンバーの無い車が、 こうも寂しく見えるとは・・・
もちろん廃車にもお金がかかる。スクラップ代もかかる。 正規の値段だと300DMぐらいだけど、なんとか100DMでやってくれるアラブ人を見つけ、 お任せした。バラバラにして売られるのだろうなぁ。はたまた修理後、売り飛ばすのだろうか。 どっちにしてもポロ号には明るい未来はない。

あぁ・・・これでポロ号ともお別れだ。

愛車との別れは、刀(GSX-750s)を買うために下取りに出したバンディット(250リミテッド)以来。 あのときは本当に半泣きだったけど、2秒後には刀に跨っていた訳だから、 悲しさなどは、あっという間に激しい喜びへと変わったものだった。 しかし今回は、ただただ辛い別れがあるのみ。

さらば、我が永遠の愛車ポロ号。


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